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アドラー心理学に学ぶ!!多職種共働に役立つコミュニケーションスキル!!

みなさん、アドラー心理学というものをご存知でしょうか?

最近では、著書「嫌われる勇気」で広く知られるようになりました。

誰もが、“幸せになるための心理学”です。

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この心理学を提唱した「アルフレッド・アドラー氏」は、オーストリア出身の精神学者/心理学者になります。欧米では「ジークムント・フロイト氏」「カール・グスタフユング氏」と並ぶ、三大巨頭として評価されていました。

 

アドラー心理学とはいったいどんな心理学でしょうか??

要約すると、

①.人の感情・行動・症状などは、過去を原因として生み出されるという原因論ではなく、自ら定めた目的に向かって動いていくという目的論を提唱している

②.いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも、失敗の原因でもない。その人がどんな意味付けをするかにより、現在のあり方が決まる

③.人間の悩みは全て対人関係の悩みである。どんな種類の悩みであれ、そこには必ず他者の影が存在する

となります。

このように独自の理論に基づく“個人心理学“を体系化した「アルフレッド・アドラー氏」の名をとって、一般的に“アドラー心理学”と呼ばれています。

 

いろんな場面で役立つスキル!!アイメッセージとユウメッセージ!?

まず、アイメッセージ(I message)ユーメッセージ(You message)とは、アドラー心理学で使われる表現方法で、臨床心理学者、Gordonが提唱した“伝え方”のことです。

アイメッセージ

「アイ(I:私)メッセージ」とは、「私」を主語にして、自分自身がどう感じているかを素直に正直に伝える話し方であり、非難せずに伝える方法なので、相手も受け取りやすい。

自分も相手も大切にした伝え方”である。

次の手順で、自分自身がどう感じているかという思いを相手に伝える。

1.相手の言動によって(事実を描写)

2.自分が具体的にどのような影響を受けたのか(事実によって生じた影響)

3.その結果、何を感じたのか(自分の正直な心情)

 

例)病棟での歩行訓練中、患者さんがバランスを崩し、そばにいた看護師さんが助けようとしてくれましたが、転倒してしまいました。

1.先ほどは、手を差し伸べて頂いたおかげで、

2.患者さんが転倒してしまいましたが、出血や骨折などにはいりませんでした。

3.私ひとりでは、対応も遅れていたと思います。

  助けていただき、ありがとうございました。

 

いかがでしょうか?今の気持ちを整理して、素直で正直に伝えることができますね。

 

ユーメッセージ

「ユー(You:あなた)メッセージ」とは、「あなた」を主語にして、「あなたのせいで私は不快になっている」という思いを、相手を非難しながら(感情的に)伝える話し方であり、受けた相手は萎縮したりすねたり怒ったりするので、互いに嫌な思いをしてコミュニケーションがうまくいかなくなる。

相手を傷つける伝え方”である。

例)病棟での歩行訓練中、患者さんがバランスを崩し、そばにいた看護師さんが助けようとしてくれましたが、転倒してしまいました。

1.あなたが手を差し伸べるのが遅かったので、

2.患者さんが転倒してしまいました。

3.もう少し早く気づいてくれればよかったのに。

 

いかがでしょうか?あなたのせいでという表現になり、相手を傷つけてしまいますね。

 

相手と会話するときは、怒りのコントロールを大切に!!

誰かの言動によって自分が迷惑したり困ったりしたときに、腹立たしい気持ちを直接相手にぶつけても、良い結果は生まれません。まずは自分の不快な感情を落ち着いてみつめることが必要です。怒りは第二感情なので、怒りのもととなる第一感情(不安・悲しみ・心配・期待)のなかから自分の本当の気持ちを見つけ出し、言葉にしていく。例えば、「期待していたので、残念に思った」「心配でどうしたらよいか困った」「そのように言われると悲しい」などと自分の感情を言語化して伝える。

対決のアイメッセージで最も重要なことは、相手を責めずに伝えることである。怒りを抱えたまま何も言わないでいることはストレスを生み、気持ちの中で相手との溝を深めることになります。価値観が異なる相手を変えることは難しいですが、自分自身の立場や考えを相手に伝えることはできます。怒りはあくまでも自分の問題であると捉えることが、怒りをコントロールできる一歩になります

 

アイメッセージを使えるようになるために!!

自己表現には、3つのタイプがあるといわれています。

タイプ

特徴

こんな人

①非主張的

引っ込み思案、卑屈、消極的、自己否定的、依存的、他人本位、承認を期待、服従的、黙る、弁解がましい

私はOKでない、あなたはOKである。

自分よりも人を優先し、自分のことは後回しにしてしまう自分を大切にしていない人

②攻撃的

強がり、尊大、無頓着、他者否定的、操作的、自分本位、相手に指示、優越を誇る、支配的、一方的に主張する、責任転嫁

私はOKである、あなたはOKではない。

自分のことを第一に考え、人への配慮がない人

アサーティブ

正直、率直、積極的、自他尊重、自発的、自他調和、自他協力、自己選択で決める、歩み寄り、柔軟に対応する、自分の責任で行動

私はOKである、あなたもOKである。

自分のことを大切に考えるが、人への心遣いも忘れない人

アイメッセージを使うためには、この3つのうち、“③アサーティブ”であることが必要です。つまり、正直で自発的であり、自分も他人も尊重する姿勢を持ち、柔軟で責任のある行動ができる人間になることが求められます。“怒り”については先にも記しましたが、コントロールが難しい感情です。もしも自分の中に怒りの感情が沸いてきたら、「この怒りのもとになっている第一感情(不安・悲しみ・心配・期待)は何だろう?」と自信に問いかけてみることが効果的です。怒りの原因となった自分の本当の気持ちがわかれば、相手を非難せず、冷静にアイメッセージを使うことがしやすくなります。

 

まとめ…

心理学とは難しい学問です。なぜなら、人の心は読むのが難しいからです。心理学は、人を操るための学問ではなく、自分を幸せにする学問だと思います。自分のために、自分はどうかを考えると、楽しい人生がおくれるかもしれませんね。では…